WEB町長室

真の強さとは

2022年9月14日

 昨今、北海道内ではヒグマ被害に頭を痛めています。


 昔、町内に名人と言われていたマタギがおりました。


 小柄な体格の人でした。


 昨今のハンターが所有する猟銃は、銃弾が3発以上装填できるライフル銃が主流ですが、その名人は、一発ずつ装填する旧式の村田銃を使っていたそうです。


 熊の狩猟は、自分に向かってくる熊を撃つそうですが、村田銃は一発外すと二発目は無理なので、ライフルと違い危険度は相当高いわけであります。


 その名人、若い頃、銃を構える間もなく熊に襲われ、所持していた刃物一本で立ち向かいました。


 頭と眼に爪を立てられて血だらけになり、結果、片眼が見えなくなったそうです。


 しかし、それでもマタギを続けていました。


 もう80歳を過ぎておじいちゃんとなっていたあるとき、偶然、畑で出会った私は、次のような質問をしました。


 「じいさん、若い頃は熊狩猟の名人と言われていたので、熊なんか怖くなかったんだね?」。
 と言うとじいさん、真剣な顔になって


 「お前なぁ、怖いものを怖いと思わなかったら、それは単なるバカだよ」。


 想定外の回答でした。


 名人と言われる人なので、「熊なんか、怖いとも何とも思わないよ」と言うと思っていたので・・・


 その時、真の怖さを知っている者だけが、真に強い人間だと知りました。


 世の中には、大言壮語の人はたくさんいますが・・・。