WEB町長室

今こそ、一人ひとりが灯明となって

2011年7月5日

バブル最盛期の頃、私たちは「明日も何かあるだろう」という希望を持って生きておりました。
しかし今は、「あの頃は良かった」と、後ろを振り返って生きています。
青年と老人の違いは、青年は未来を語り、老人は過去を語るといいます
正直、今の世相は、過去に思いをはせる老人の思想になっているのかもしれません。

師匠と弟子の逸話の中に、「一灯照隅」という言葉があります。
弟子が師匠に真理を学んでいたある夜、師匠が言います。
「もう夜も更けた。早く帰って休んだらどうか」
「ありがとうございます」
と言って弟子が外に出るとそこは真っ暗闇。
あわてて引き返し「いや~、もう外は真っ暗でして・・・」
と師匠に告げると「そうか。それではこれを持っていけ」と言って、提灯に灯をつけて渡してくれた。
弟子が喜んでその提灯を持って出ようとした途端、師匠はフッとその灯を吹き消された。
その時に、弟子は真実と掴んだという。
提灯は灯りを消されたらそれっきりである。
自分が求めているものは、自分自身が灯明となって一隅を照らすということで、提灯を持つことではない。
まさに、私たちも今の世の中、誰かが何かを変えてくれると期待しているが、それは無理なことである。

今こそ、私たち一人ひとりが灯明となって一隅を照らすことにより、国全体が明るくなるということを気づかないことには、この国の将来はないとつくづく感じた次第であります。