WEB町長室

上司に求めていたリーダーシップ

2011年9月22日

どこの職場でも、
「うちの課長はリーダーシップがない」
「指導力がない」という部下の声が聞こえてきます。

通常、リーダーシップの定義は、
上から下に対しての統率力・指導力でありますが、
次の逸話から、
下からのリーダーシップもあるということを教わりました。

ソニー創業者である井深大さんの、講演会でのお話しです。
リーダーシップと題した講演終了後、ある女性が手を挙げて
質問したそうです。
「失礼ですが、いまのお話はよく分かりませんでした。
 私のような主婦にでも分かるように話をしてくれませんか」。

司会者は大慌てでしたが、さすがは井深さん。
 ニコッと笑って、次のようなお話しをされたそうです。

「ソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、
 世界中から大勢の見学者が来られました。
 
 しかし一番の問題だったのが便所の落書きです。
 
 会社の恥だからと工場長にやめさせるよう指示を出し、
 工場長も徹底して通知を出した。
 それでも一向になくならない。
 そのうちに『落書きをするな』という落書きまで出て、
 私もしょうがないかなと諦めていた。
 
 するとしばらくして工場長から電話があり
『落書きがなくなりました』と言うんです。

『どうしたんだ?』と尋ねると、
『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、
 蒲鉾(かまぼこ)の板2、3枚に、
“落書きをしないでください
  ここは私の神聖な職場です”
 と書いて便所に張ったんです。
 
 それでピタッとなくなりました』と言いました」

井深さんは続けて
「この落書きの件について、
 私も工場長もリーダーシップをとれなかった。
 パートのおばさんに負けました。
 その時に、リーダーシップとは上から下への
 指導力、統率力だと考えていましたが、誤りだと分かったんです。
 以来、私はリーダーシップを“影響力”と言うようにしました」
と言いました。

まさに、
「影響力」は誰でもが発信できるリーダーシップとすると、
今まで上司に求めていたリーダーシップを、
これからは自分自身に求めていかなければなりません。