災害の季節に臨んで
2006年8月1日
本州では大雨により甚大な被害を被っておりますが、北海道もいよいよその季節となって参りました。これだけ科学が発達しても、さすがに大雨等はくい止めることはできませんが、災害は対応によって最小にくい止めることが可能であります。
「備えあれば憂いなし」の諺どおり、災害が発生する前にどのような準備をし、どのような心構えで臨むかによって被害の程度が変わってくるものと思われますが、JR福知山線での事故の際、現場のすぐそばにあった会社「日本スピンドル」の対応がたいへん参考になりました。
ものすごい音がした後、直ちに社員の1人が現場を確認に行きました。
それを上司に報告し、上司は社長に報告しました。社長は直ちに工場の操業停止と社員が救助にいくことを決めましたが、ただ行っては混乱するだけと、いったん全員を食堂に集めました。その時に役割分担を行い、若い人間やスポーツの得意な人間を選んで、ハシゴに登るのは誰かまで決めてから現場に向かわせました。敷地内の仮設のテントに負傷者を保護。精密機器輸送用の振動の少ないトラックで傷病者を病院に運び、フェンスをカッターで切り、駐車場内の車のガソリン漏れに対しては工場中の消火器を運ばせました。
このように本物のレスキュー隊や消防の来る前にかなりの対応をしたそうですが、この会社からはたくさんのことを教えられました。
まず1点目は、すぐに現場を確認したことであります。
現場を把握しないで机上で対策を練った場合、往々にして、現場に行ってからの対策が後戻りすることがあります。
2点目は、役割分担を明確にしたということであります。
災害現場では相当数の人が走り回りますが、各々の役割分担を決めておかないと、ただムダに動き回ることになります。
3点目として、このことが一番重要かもしれませんが、指揮系統が明確化され、それと併せて指揮官が正確な指令を出したということであります。
災害現場では、お互い気が動転して冷静な判断ができなくなっておりますから、人数が多ければ多いほど烏合の衆になる恐れがありますから、指揮官が的確な判断で指令を出すことが重要であります。
このほかにも、たくさんの教訓を学ぶことができると思います。