自治体の正常性バイアス
2025年1月22日
1912年、豪華客船タイタニックがアメリカを目指してイギリスを出航し、航海中に氷河と衝突し沈没したことは、映画としても上映されております。ここで考えてみました。
イギリスとアメリカを結ぶ航路に氷河があることは、航路を行き来する関係者にとっては常識的なことだと推測されます。
歴史に「もしも」はないと言われておりますが、もしも船長が、行く手に氷河があると理解していたとしたら航路を変えただろうか?
いや、この航路は最短なので、氷河が出てきた際には氷河を避ければいい位に考えていたんでないでしょうか。
自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする認知特性を「正常性バイアス」と言うそうです。
人口戦略会議が、2050年には全国1729自治体の内、744自治体が消滅するだろうというショッキングな報道をしました。(ただし、私たちからすると「消滅可能性」という表現は看過できないことではあります。何故かと言いますと、沈没する船からネズミが逃げていくと言われているように、町民も、将来消滅すると言われている町には留まらないだろうと予想されるからであります。)
しかし、人口予測は何年かの誤差があったとしても、的中すると言われております。
自治体を企業に置き換えてみると、人口戦略会議は2050年には相当数の企業が倒産すると予測しているわけであります。
それも名指ししております。
当然のごとく、名指しされた企業は、全社を挙げて倒産しない策を模索し実行することは間違いありません。
それに反して、一時、名指しされた市町村は「消滅可能性」という言葉には相当反応しましたが、残念ながら、その後この話題は出てきておりません。
町の将来を考えたら相当大きな問題であるはずですが、まさに、「正常性バイアス」に陥ってしまったと思われます。