相手の立場になって
2022年10月21日
ある町での出来事です。観光客が、夕食をとるのに午後6時閉店のレストランに入ったそうです。
ところが、閉店10分前の午後5時50分に入ったのに閉店だと言われ、結局、夕食をとることができなかったそうです。
観光を前面に打ち出しているレストランでありながら、接客サービスを何と心得ているのかとあきれるばかりでありますが、閉店間近のサービスについてどのような対応が求められているか、接客のプロが次のようなお話をしています。
たとえば、夜の12時にお客様がタクシーを飛ばしてホテルのバーに一杯飲みに来たとします。
しかし、12時30分には閉店の時間を迎えます。
そこで普通のお店であれば、「お客様、大変申し訳ございませんが、そろそろ12時でございまして、ラストオーダーの時間も過ぎ、間もなく閉店でございます。せっかくお越しいただいたのに大変申し訳ございません。また次の機会によろしくお願いいたします」と対応するでしょう。
言葉づかいは丁寧ですが、これはお客様にノーと言っているのと同じです。
お客様の方は、「せっかくタクシーで来てやったのに、気のきかない店だな。臨機応変にできないのか」ということになり、二度と来てくれることはないでしょう。
ところがマネージャーが出てきて、「お客様、こんばんは。この時間にわざわざタクシーを飛ばしてお立ち寄り下さいまして、本当にありがとうございます。私どもバーは、間もなく閉店の時間を迎えるのですが、せっかくお見えいただきましたので、よろしければ、ビールの一杯でもいかがでございましょうか」と対応したら、お客様の気持ちは、「来てやったのに」から「来て良かった」に変わります。
そしてその後、ビールを1、2杯飲んで、「遅くまでありがとう。また近いうちに、今度はもっと早い時間に来るよ」と言って気持ちよく帰るでしょう。
「相手の立場になって」というチョットした心遣いがあれば、これは簡単にできることであります。