WEB町長室

結婚式で聞いた「理」と「情」

2007年7月25日

私が出席した、ある結婚式でのことです。
一通りセレモニーも終わりに近づき、両家謝辞で新郎の父親が次のような謝辞を述べました。
私は、十勝の山奥で兄弟の多い家庭で育ちました。
ある時、傷痍軍人が玄関先に立ち、何かほどこしをして欲しいということであったが、応対に出た父親は、その傷痍軍人に対し「お前たちはそんな生活をしていてどうするんだ。ちゃんと真っ当に働かなければだめでないか」というようなことを言って、玄関で門前払いをしてしまいました。
そう言われた傷痍軍人は仕方なく帰って行きましたが、私は、子供心にもその姿を見てかわいそうに思いました。
ところが、それを一部始終見ていた母親は、父親に見えないように裏玄関から出てその傷痍軍人の処へ駆けていきました。
見ると、母親は着物の下から何かを取り出して、その傷痍軍人に手渡しておりました。
子どもの目で見ただけでありましたが、母親はその傷痍軍人がかわいそうになり何か食べ物を持っていったものと思います、
今ふり返ってみると、父親のとった行為は「理」であり、母親のとった行為は「情」であったと思いますが、今、新しいカップルとなった二人も、私の両親のように「理」と「情」を備えた夫婦であって欲しいということで結びました。
私は、この謝辞を聞いてジーンときました。
新郎の父親は、結婚式を通して子どもに「理」と「情」を伝えた訳であります。
今、学校で荒れている子供たちの大半は家庭内に原因があると言われておりますが、その大きな要因は「理」と「情」の欠乏でないかと思われます。
いまこそ「理」と「情」を見直す時期ではないかと痛感した次第であります。