人間が見せる三つの顔
2007年7月17日
新潟中越沖地震では、たくさんの人が避難所で一夜を明かしたということでありましたが、家を空けると空き巣に入られるということで、自宅で過ごした人もいたようであります。私は、一日中テレビで被災の模様を見ていて、このような時こそみんなで力を合わせなければと痛切に感じた次第でありますが、ある本で、窮地に追い込まれた時に人間が見せる顔は三つあるということを思い出しました。
阪神淡路大震災の際、それが顕著に出たといいます。
一つは、自分のことだけをした人の顔。
隣の人が生き埋めになって「助けてくれ」って言っているのに、自分の家の預金通帳や権利書を持ってさっさと去っていった人。
二つ目は、何をやっていいか分からず、呆然と立ちつくして燃えていく様を眺めている顔。
三つ目は、自分の肉親を亡くしても、一所懸命、人のために尽くした人の顔。実際、震災に遭遇した人は、地獄として言いようのない惨状の中で、人間の醜さも美しさも両方垣間見たと言います。
人間は理性を持っている動物でありますので、平常時は理性で行動しますが、とっさの時は、理性でなく習性で行動するといいます。
常日頃、どんな立派なことを言っていても、窮地に陥った際には必ずその習性が現れてしまいますので、普段から、理性と習性を近づける努力が必要かと痛感しております。