決断を阻害する言葉とは
2010年8月31日
Jリーグ創設の際、創設者である川淵三郎チェアマンの秘話を知って、大変感銘を受けたとともに、何か事をなすときには、いかにリーダーの決断が大切かということを痛感いたしました。91年のJリーグ発足前の会議で、協会幹部が次のように発言したといいます。
「サッカーのプロ化というが、バブルもはじけ、景気も悪くなってきた。企業もサッカーに投資しにくいのではないか。時期尚早と思われる」
そうすると、もう一人の幹部が続けた。
「日本にはプロ野球がある。サッカーがプロ化で成功した例はない。前例がないことを急いでやる必要があるのか。もっと落ち着いて考えるべきだ」
それに対し、すぐさま川淵氏は席を立ち、次のような反論をぶったといいます。
「時期尚早という人間は、100年たっても時期尚早という。前例がないという人間は、200年たっても前例がないという」
そして、この一言がプロ化への流れを一気に加速させたといいます。
「時期尚早」「前例がない」は、実行したくないときの弁明ですが、私も、この言葉は様々な場面で聞いた覚えがあります。
元来、人間というものは変革を嫌う保守的な面があることから、この二つの言葉を聞くと、自ずと同調しがちになります。
なぜかといいますと、その方が楽であります。
しかしこの逸話から、真のリーダーと呼ばれるには、外部からの様々な弁明を、逆に変革のエネルギーにすることが大切だということを教わりました。