働く喜びってあるんだろうか?
2011年9月5日
働くことは苦しいことの連続のような気がし、「働く喜びってあるんだろうか?」と疑問に思うこともあります。そのような時に、学校等で使うチョークを生産販売し、障害のある人たちを積極的に雇用している日本理化学工業(株)の逸話は、大変示唆に富んでおります。
日本理化学工業(株)は、創業時から障害者を進んで雇用したわけではなく、ある時、養護施設の先生に懇願され、しかたなく15才の女の子二人をアルバイト的に働いてもらったことがスタートでありました。
その二人は、雨の日も風の日も、満員電車に乗って通勤してきます。
そして、単調な仕事に全身全霊で打ち込みます。
しかし、どうしても言うことを聞いてくれないときがあります。
そのような時、会社としても困り果て「施設に帰すよ」と本人たちに言うと泣いて嫌がるそうです。
社長は、不思議に思っていました。
施設にいれば楽に過ごすことができるはずなのに、どうして辛い思いをしてまで工場で働こうとするのだろうかと。
その疑問を持って、禅寺での法要に参列した際、住職に「うちの工場には知的障害を持つ二人の少女が働いています。施設にいれば楽ができるのに、なぜ、働こうとするのでしょうか?」と問いただしました。
一瞬、間がありましたが、住職は大山氏の目を真っ直ぐに見て次のように話したそうです。
「人間の幸せは、ものやお金ではありません。
人間の究極の幸せは次の四つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の三つの幸せは、
働くことによって得られます。
障害を持つ人たちが働こうとするのは、
本当の幸せを求める人間の証なのです」
満たされていると、その有り難さを感じることができないといいます。
空気と同じで、無くなったときに真の有り難さを感受することができます。