WEB町長室

日本人の矜持(きょうじ)

2012年8月16日

先日、知人の漁師がトラックを運転しているのを見かけびっくりしました。
何故かといいますと、彼は病気で入院中であり、状態もあまり芳しくないと聞いていたからです。
その彼が、運転しているなんて・・・。

後日、地区の漁師と一献傾けていたときに、偶然、彼の話題になりました。
その漁師曰わく、仮に知人の漁師をAさんとしますと、Aさんは病気があまり良い状態でなく、仕事をするような状況でないはずだそうです。

退院時、Aさんは医師から、生活保護を申請して治療に専念するよう勧められたそうですが、それを頑なに拒んだそうです。
そのため医師も、やむを得なくAさんの意思を尊重し、自宅で漁業に従事しながら治療を続けるということになったそうです。
そのようなことから、本来、働ける状態ではないはずだということですが、共同作業の時なども、他の漁師に負けないような働きぶりだそうです。
私はその話を聞いて、びっくりするとともに涙が止まりませんでした。
Aさんは、普段から寡黙な男ではありましたが、こんなにも意志の強い男であったのかと。

私は、「矜持」という言葉が好きです。
「矜持」の意味は、自信や誇りを持って堂々と振る舞うこととあります。
私は、日本人としての矜持を持った人間になりたいものだと常々心がけておりますが、未だその境地に至ること叶いません。
しかし、私はAさんに“日本人としての矜持”を教わりました。

そして、医者に安静が必要だと言われている状態の中で漁師を続けるAさんに、心を打たれました。
私がAさんの立場であったら、とてもAさんのように振る舞うことはできないでしょう。
Aさんに、真のサムライを見た気がします。