WEB町長室

有言実行の難しさ

2022年10月4日

 町外から進出した企業の施設内でトラブルが発生し、町内農業者への補償問題にまで発展したことがあります。


 補償交渉は順調に進んでいましたので、本来であれば、行政が口を出すことではないと理解していましたが、被害を受けた農業者を支援したく、手厚い補償をしてくれるよう進出企業に申し入れを行いました。


 ところが、申し入れの際、私の心を一瞬よぎったものがあります。


 それは「被害を受けた農業者は、私が口添えをしたことに感謝してくれるのか。町が口添えすることは当たり前だと思っているんでないのか」と。


 そうです。


 私はいつの間にか、農業者に対し、口添えをした行為に感謝するよう求めていたんです。


 まさに「やってやったのに」という傲慢な気持ちが、心のどこかで頭をもたげていたのです。


 私は、政治信条を問われたときに、「涼風」にたとえて話をしておりました。


 「真夏の暑い日、汗だくの身体に涼しい風がよぎり、一瞬爽やかになる。そのときに『ああ、涼しい風だなあ。あの風はどこへ行ったのかなあ』とその風を探しても、風は痕跡も残さないでどこかへ行ってしまう。私もそのような風になりたい」


 しかし本心は、そこに止まって相手方から感謝の言葉を待っている風でした。


 恥ずかしい限りです。


 そして「有言実行」の難しさを改めて痛感いたしました。