WEB町長室

己がつくる火の車

2023年5月19日

 「心身統一法」を提唱する中村天風氏がヒマラヤで修行中、不思議な光景に出会うそうです。

 日中、地元民同士がすごい剣幕でケンカしている。
 どうなるのかと心配して見ているが、夜になると、にこにこと仲良くしている。
 それを見た天風氏がその訳を聞いたところ、地元民曰く「夜は魔物が棲んでいるから」と答えたそうです。

 私たちも、日中はプラス思考で考えることができるが、夜になると、どうしてもマイナス思考に陥ってしまう傾向にあります。

 日中を思い出して、「あの人に声をかけたけど、あまり良い返答でなかった。きっと私をよく思っていないのではないか?」
 「日中からあんなに携帯電話に電話をしても、出てくれない。ヒョッとすると具合が悪いのではないか。それとも、私が以前話したことが気に入らなくて、電話に出ないのではないか?」等々。

 しかし、翌日聞いてみると何のことはない。
 「声をかけてもらったが、声の調子が悪くて大きな声で返答できなかった」
 「電話をもらったが、携帯電話を家に忘れて仕事に行ってしまったので、電話に出ることができなかった」等々、推測したことが全く的外れであったことが往々にしてあります。

 仏教用語に「火の車 つくる大工はなけれども 己がつくりて 己が乗りゆく」とあります。 

 まさに、本来何もないのに、自分で心配事の火の車を作ってしまっているのです。
 そのことから、夜はあまり深く考えないように心がけております。