WEB町長室

自覚しない効用

2023年6月1日

 不思議です。

 人間、死への片道切符を持って旅をしているはずなのに、誰もが自覚できていないのではないでしょうか。

 逆に、自覚するのが怖いから自覚しようとしないのかも知れませんが・・・。

 あえて、自覚するとしたら、病を患ったときくらいかも知れません。

 ところが、不治の病と告知された際には死を覚悟すると思われますが、完治すると、その時の思いもすっかり忘れ去ってしまい、また、いつもどおり死をも意識しない普通の生活に戻ってしまうことでしょう。

 それも無意識のうちに。

 人間、忘れるということと、見たくないものはあえて見ないという習性を持っていると言われておりますが、忘れるという習性があるからこそ、悲しみから抜け出すことができます。

 もしも、おめでたい結婚式に出席したなかで、頭の中が葬儀の思い出でいっぱいであるとしたら、喜びも吹っ飛んでしまいます。

 また、悲しみばかりでなく、怒りも収まることがないようであれば、まさにネガティブキャンペーンまっただ中となりますので、想像するだけでもぞっとします。

 人間にとってこの二つの習性は、生活をするうえで欠かせないものかもしれません。