花を植えた心情
2024年9月9日
私は、様々な趣味のグループに入会しておりました。ところが、最初、趣味の仲間と楽しく過ごすことができていたわけでありますが、会を運営していくうちに様々な意見が噴出してきます。
「みんな忙しいなかで参加しているのに、無断で欠席するような会員が見受けられる。私たちだって忙しいなかでも参加しているのに、欠席するとは無責任でないのか」
「役員になりたがらないので、特定の会員だけに負担がかかりすぎる」
等々・・・
また、「同じ人が会長をやり、交代しようという意思がない」という逆のパターンもあります。
このように、せっかく趣味を楽しむ会のはずなのに、逆にストレスを抱えてしまう、まさに本末転倒であります。
ある僧侶が、小坊主たちと蘭の植栽を楽しみました。
翌春、山に植えた蘭が満開になり、小坊主たちは嬉しくて笑みが絶えませんでした。
ところが、思わぬことにその夜に暴風雨に見舞われ、あれほど咲き誇っていた蘭が泥の中にことごとく倒れてしまったのです。
翌朝早く、小坊主たちがこの無惨な光景を目にすると、誰もが驚き、心痛の表情を浮かべました。
これをみた禅師が、不機嫌になるのではないかと思ったからです。
しかし、 姿を現した禅師は、意外にも落ち着いていました。
「花を植えたのは楽しみや趣味のためであり、不愉快な気持ちになるためではない」
この言葉を聞いた途端、小坊主たちはほっとし、そして禅師の度量の大きさに改めて尊敬の念を深めました。