WEB町長室

真のリーダーシップとは?

2008年1月21日

上に立つ者に一番求められているのが、“リーダーシップ”だと言われております。
“リーダーシップ”の持っていないトップは、その職を辞すべきだという厳しい意見を言う評論家もおります。
私も、町長としてリーダーシップが必要だと痛感することがありますが、“リーダーシップ”とは上から下に対しての力だと認識しておりました。
ところが、次の逸話でその考え方を変えなければと思ったところであります。
故人となられた井深大氏がソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、世界中から大勢の見学者が来られた。
しかし、一番の問題だったのがトイレの落書きだった。
井深氏は、会社の恥だからと工場長にやめさせるよう指示を出し、工場長も徹底して通知を出した。
それでも一向になくならない。
そのうちに「落書きをするな」という落書きまで出て来る始末であったので社長も諦めていた。
するとしばらくして、工場長から「落書きがなくなりました」という電話があった。
井深氏が「どうしたんだ?」と尋ねると、「実はパートで来てもらっているトイレ掃除のおばさんが、かまぼこの板3枚に“落書きをしないでください。ここは私の神聖な職場です”と張ったらピタッとなくなった」ということであった。
井深氏は、「この落書きの件については、私も工場長も“リーダーシップ”をとれなかった。パートのおばさんに負けました。その時に、“リーダーシップ”とは上から下への指導力、統率力だと考えておりましたが、誤りだとわかったんです。以来私は、“リーダーシップ”を“影響力”と言うようにしました」と言ったそうです。
私たちは、得てして“リーダーシップ”を他に求めがちでありますが、自分に求めなければならないものなのかもしれません。